はじめに
注文住宅を検討している方の中で、「同じ家は、つくらない。」というコンセプトを掲げる三栄建築設計(現:メルディア)の名前を耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。
この記事では、三栄建築設計で実際に家を建てた方の口コミや評判、坪単価、特徴などを詳しく解説します。これから注文住宅の建築を検討している方にとって、メーカー選びの重要な参考情報となるでしょう。
三栄建築設計(メルディア)とは?会社概要
基本情報
三栄建築設計は1993年に東京都杉並区で「有限会社三栄コーポレーション」として創業し、2024年3月1日に「株式会社メルディア」に社名変更しました。現在はオープンハウスグループの完全子会社として事業を展開しています。
項目 | 詳細 |
---|---|
旧社名 | 株式会社三栄建築設計 |
現社名 | 株式会社メルディア |
創業 | 1993年(平成5年)9月 |
本社所在地 | 東京都新宿区西新宿1-25-1 新宿センタービル |
親会社 | オープンハウスグループ |
施工実績 | 年間1700棟を超える施工実績 |
上場 | 旧東証一部上場(現在は非上場) |
事業内容
分譲住宅、注文住宅から、新築アパートや賃貸物件まで、住宅に関する”すべて”を自社で生産している総合住宅メーカーです。主な事業は以下の通りです:
- 分譲住宅事業:戸建分譲住宅だけでも年間で1100棟近く建築
- 注文住宅事業:完全自由設計の注文住宅
- 賃貸住宅事業:投資用アパート・マンション
- 分譲マンション事業
- 海外事業:アメリカ合衆国カリフォルニア州にロサンゼルス営業所を開設
三栄建築設計の最大の特徴「同じ家は、つくらない。」
デザインへのこだわり
三栄建築設計は、デザイナー育成のために社内デザイン認定制度や、デザイン研究開発室などを設けており、注文住宅はもちろん、分譲住宅にもデザイン性を求められるのが大きな特徴です。
デザインの強み:
- 「デザイン研究開発室」という部門を設置しており、常にお客様の希望や景観に合うデザインを研究
- 優れたデザインを提供する企業に与えられる「グッドデザイン賞」を受賞した住宅も多く、2019年には公募型戸建分譲住宅「北沢住宅計画」で同賞を受賞
- 近代的モダンなデザインを得意とし、住宅展示場の中でも群を抜いて目立つデザイン
自社一貫体制による品質管理
自社一貫体制で家づくりをしており、土地探しから企画、建設まで一貫して行うことで家づくりがスムーズに進み、さらに中間マージンをカットすることが可能です。
この体制により以下のメリットを実現:
- コストの最適化
- 品質の一定性確保
- スケジュール管理の徹底
- お客様との情報共有の円滑化
坪単価・価格帯について
坪単価の相場
三栄建築設計(メルディア)の坪単価は、複数の情報源から以下の範囲とされています:
価格帯 | 坪単価 |
---|---|
一般的な相場 | 50万~90万円 |
詳細な価格帯 | 48.0万円~75.0万円/坪 |
目安価格 | 60万円〜80万円程度 |
価格帯の位置づけ
一般的なハウスメーカーの平均坪単価は約50~100万円ですので、三栄建築設計の坪単価は全体的にみると、平均的と言えます。
競合他社との比較:
- ローコスト住宅メーカーと比較すると高価になりますが、大手ハウスメーカーと比較すると比較的リーズナブルな価格帯
- ミドルからハイクラスのハウスメーカーとして位置づけられる
具体的な建築実例と価格
建築実例 | 坪数 | 価格 | 坪単価 |
---|---|---|---|
和モダン | 30.22坪 | 1,600万円 | 約53万円/坪 |
SUGAR CUBE | 37.81坪 | 2,000万円 | 約53万円/坪 |
ルーフバルコニーのある家 | 31.85坪 | 1,700万円 | 約53万円/坪 |
狭小3階の家 | 28.20坪 | 1,600万円 | 約57万円/坪 |
構成美の家 | 36.56坪 | 2,000万円 | 約55万円/坪 |
出典:三栄建築設計の建築実例
住宅性能・技術仕様
構造・工法
三栄建築設計では、「ピン工法」「サンファースト工法」「パワードモノコック工法(ツーバイフォー工法)」の3つの工法から選択することができます。
1. ピン工法
木造軸組み工法の進化版ともいわれており、通柱の接合部分に金物を使う工法で、金物を使わない在来工法に比べて約1.5倍以上の強度があることが確認されています。
2. サンファースト工法
木造技術を結集して、進化を遂げたハイブリッド工法で、木造軸組工法をベースに三栄建築設計が開発した「三栄式羽子ボルト」を梁の接合部に使用することで、半永久的に接合部のゆるみを防ぐ構造です。
3. パワードモノコック工法(ツーバイフォー工法)
従来のツーバイフォー工法を三栄建築設計が改良した工法です。
耐震性能
地震や火災に対して強い材質や基礎を標準仕様にしており、モノコックフロアやベタ基礎、オールコネクタ接合といった3つの耐震技術が標準仕様となっています。
耐震技術の特徴:
- ベタ基礎を採用しており、建築基準法では300mmが基準値なのと、耐震性を売りにしてるとあるメーカーでも410mmなので基礎高は十分
- モノコックフロア構造による剛性向上
- オールコネクタ接合による接合部強化
ただし、三栄さんの建物は耐震等級1なので、耐震等級というのは1.2.3の三段階あって3が最高ランクですが2階建も3階建も共に耐震等級1という点は留意が必要です。
断熱・気密性能
高気密・高断熱の住まいなら、1台のエアコンで家中を空調し、それを長くキープすることも可能となります。三栄建築設計の家づくりにはウレタン発泡断熱やセルロースファイバー、複合樹脂サッシなどの高性能な建材が標準仕様です。
断熱性能の特徴:
- ZEH基準となる「UA値0.6以下」の快適な住まい
- 標準仕様で、断熱材がアクアフォーム
- 高性能断熱材「セルロースファイバー」を用いての、防音・遮音性能の高い家づくりが可能
標準仕様・設備
価格の割に標準仕様が良かったという評価があり、以下のような設備が標準装備されています:
主な標準仕様:
- 良水工房、エコジョーズ、電気自動車用EV電源
- サッシは全てアルゴンガス入り
- ホウ酸処理による15年の長期シロアリ保証
- ベタ基礎
- 第一種換気システム
水回り設備:
設備 | Panasonic | TOTO |
---|---|---|
キッチン | ラクシーナ | – |
バスルーム | オフローラ | サザナ HTシリーズ |
洗面台 | シーライン | オクターブ |
メーカーによって選べるグレードが異なるのが特徴です。Panasonicだとオフローラという低グレードしか選べませんが、TOTOなら5段階中で上から2番目のグレードが標準になります
施工エリア・対応地域
主要施工エリア
施工エリアが国道16号線に触れる市区町までとなっているため、建てられる人は首都近郊に住む人に限られます。
対応エリア:
- 東京都:23区およびその周辺地域
- 神奈川県:横浜市、川崎市、相模原市など
- 千葉県:千葉市、船橋市、柏市など
- 埼玉県:さいたま市、川口市など
- 愛知県:名古屋市およびその周辺
拠点・支店情報
本社を東京に置き、神奈川県、千葉県、東京都、愛知県、ロサンゼルスに支店を設けています。
実際の口コミ・評判分析
良い評判・口コミ
デザイン・品質面での高評価
東京城西地区で注文住宅を建築した者です。建売はよく分かりませんが、注文住宅に関してはかなり対応が良いです。営業、設計、現場監督全ての方が良い方で、三栄建築設計を選んで良かったと思っています。先日内覧会だったのですが、まさに理想通りでモデルルームのような家で感動しました
具体的な評価ポイント:
- 毎回打ち合わせ時に双方の認識相違が無いよう、議事録を書いてくれること
- 注文住宅にしては建築価格が安いのにもかかわらず、高品質な住宅(耐震、耐風等級2、低炭素住宅、良水工房、エコジョーズ、電気自動車用EV電源)を建築頂いたこと
- 追加見積もりが明確であること
コストパフォーマンス
デザインがオシャレで気に入ってます。価格も安く、明朗会計でした
現在近隣でいくつか自宅と同じような条件の物件がでており親戚の入居検討で内見にいきましたが、三栄建築設計さんの物件より心躍らない内容で1000万~2000万高い物件ばかりで毎回驚きます
建築品質・住み心地
本当によく考えて設計してくれています。5棟並んだ建売住宅の1棟を購入しましたが、隣と視線が合わないように窓の位置などが配慮されているんです。友達が遊びに来ても、建売住宅と思えないくらいおしゃれだねと言ってくれました
悪い評判・注意点
施工品質に関する懸念
三栄建築設計で新築戸建ての家を買って入居したら、床が波打ってボコボコだった。入居前のチェックではスリッパ履いてたから気がつかなかったけど、スリッパなしで歩いて速攻気づくレベル
近隣への配慮
6メートル道路挟んで南側に三栄建築設計が3階建てる建てやがったせいで冬場の日中まっったく陽が入らなくなった。低層住宅地で周りは二階建てばかりなのにそうした住環境無視して狭小地に3階建てを横並びで建てるばかりか周辺へのプライバシー配慮一切なし
工事中のトラブル
隣家が建て直しで頼んでる三栄建築設計ってめっちゃ最低なんだねー。人の家の土地に入って工事してるし挨拶ないし…… 汚水枡6月に壊されて今だに直してくれない
口コミから見る傾向
良い評判の特徴:
- 注文住宅での満足度が高い
- デザイン性への評価が高い
- コストパフォーマンスの良さ
- 営業・設計担当者の対応の良さ
悪い評判の特徴:
- 分譲住宅での施工品質にばらつき
- 工事中の近隣への配慮不足
- アフターサービスの課題
保証・アフターサービス
基本保証制度
保証は10年ですが、定期点検および有償修繕を行えば35年に延長出来ます。
保証内容:
- 構造躯体:初期10年保証
- 防水:初期10年保証
- シロアリ:ホウ酸処理による15年の長期保証
- 延長保証:最大35年まで延長可能(有償メンテナンス条件)
アフターサービスの課題
三栄建築設計の組織上、マイホームの引渡しが終わった後のフォロー体制が手薄という指摘もあります。これは短期間で他社の合併を多数行ってきたため、事業の基盤が整うにはもう少し時間が必要という背景があるとされています。
三栄建築設計で建てるメリット・デメリット
メリット
項目 | 詳細 |
---|---|
高いデザイン性 | グッドデザイン賞受賞実績、オンリーワンのデザイン |
コストパフォーマンス | 大手ハウスメーカーより比較的リーズナブル |
自由設計 | 完全自由設計で理想の住まいを実現 |
狭小地対応 | 都心部の狭小地・変形地にも対応可能 |
標準仕様の充実 | ZEH基準の断熱性能、充実した設備 |
施工実績 | 年間1700棟を超える豊富な実績 |
デメリット
項目 | 詳細 |
---|---|
施工エリア限定 | 首都圏・中部地方の一部地域のみ |
アフターサービス | 引き渡し後のフォロー体制に課題 |
耐震等級 | 最高等級ではなく等級1が標準 |
施工品質のばらつき | 一部で施工品質に関する問題報告 |
近隣配慮 | 狭小地建築時の近隣への配慮不足の指摘 |
三栄建築設計が向いている人・向いていない人
向いている人
関東圏で家づくりを希望の方、また建築地を所有している方、ハウスメーカーの提案する商品では満足ができない方、家の性能にある程度の妥協を許せる方、間取りや外観にこだわって、オンリーワンの住宅を自由設計で建てたい方
具体的には:
- デザイン性を重視する方
- 完全自由設計を希望する方
- コストパフォーマンスを重視する方
- 狭小地・変形地での建築を検討している方
- 首都圏での建築を予定している方
向いていない人
- 最高等級の耐震性能を求める方
- 充実したアフターサービスを重視する方
- 対応エリア外にお住まいの方
- ローコスト住宅を希望する方
- 規格住宅で十分と考える方
契約前に確認すべきポイント
1. 詳細な見積もりの確認
ローコスト住宅を建てたくて依頼しましが、オプションなどつけたので結局予算オーバーに。コストダウンできるところをもう少し話し合うべきだと思いました
確認項目:
- 標準仕様の詳細内容
- オプション費用の詳細
- 追加工事の可能性
- 総予算の上限設定
2. 施工体制の確認
担当営業さんと担当工務店さんとで意思の疎通が図れてないことがありました
確認項目:
- 担当者間の連携体制
- 現場監督の経験・実績
- 工程管理の方法
- 問題発生時の対応フロー
3. アフターサービスの詳細
確認項目:
- 定期点検の頻度・内容
- 保証の詳細条件
- 緊急時の連絡体制
- 延長保証の条件・費用
4. 近隣への配慮
確認項目:
- 工事中の近隣挨拶
- 工事時間・騒音対策
- 敷地境界の確認
- プライバシー配慮
他社との比較検討のポイント
同価格帯のハウスメーカーとの比較
項目 | 三栄建築設計 | A社 | B社 |
---|---|---|---|
坪単価 | 50-90万円 | 55-95万円 | 60-100万円 |
デザイン自由度 | ◎ | ○ | ○ |
耐震等級 | 1 | 2-3 | 2-3 |
アフターサービス | △ | ○ | ◎ |
施工エリア | 限定的 | 全国 | 全国 |
検討時の優先順位の付け方
- 立地・エリア:対応エリア内かどうか
- 予算:総予算との適合性
- デザイン:理想とするデザインの実現可能性
- 性能:必要な住宅性能レベル
- アフターサービス:長期的な安心感
最新動向・今後の展望
社名変更とオープンハウスグループ参画
三栄建築設計は24年3月から商号を「メルディア」に変更し、戸建て住宅大手のオープンハウスグループの完全子会社になりました。
変更による影響:
- 経営基盤の安定化
- 資金調達力の向上
- ノウハウの共有
- サービス品質の向上期待
環境配慮への取り組み
国産材の活用でカーボンニュートラルの実現を目指し、日本の豊富な森林を活用し、その分の植樹を行うことで持続可能な森林開発を目指します。また国産木材を使用することで、輸送にかかるCO2の削減にも貢献しています。
技術革新への取り組み
北九州市立大学との産学連携による「メルディア高機能木材研究所」竣工など、技術開発にも積極的に取り組んでいます。
まとめ
三栄建築設計(現:メルディア)は、「同じ家は、つくらない。」というコンセプトのもと、高いデザイン性と自由設計を強みとするハウスメーカーです。
主要なポイントをまとめると:
👍 おすすめできる点
- 優れたデザイン性:グッドデザイン賞受賞実績
- 高い自由度:完全自由設計での家づくり
- 適正な価格帯:50-90万円/坪の競争力ある価格
- 狭小地対応:都心部での建築に強み
- 豊富な実績:年間1700棟超の施工実績
⚠️ 注意すべき点
- 限定的な施工エリア:首都圏・中部地方の一部のみ
- アフターサービス:体制に改善の余地
- 耐震等級:最高等級ではない
- 施工品質:一部でばらつきの報告
最終的な判断基準
三栄建築設計(メルディア)は、以下の条件に当てはまる方に特におすすめできます:
- デザインを重視し、オンリーワンの住まいを求める方
- 首都圏での建築を予定している方
- コストパフォーマンスを重視する方
- 狭小地・変形地での建築を検討している方
一方で、最高等級の耐震性能や充実したアフターサービスを重視する方は、他社との比較検討をおすすめします。
最後に
住宅は一生に一度の大きな買い物です。この記事の情報を参考に、必ず複数社での比較検討を行い、実際に展示場見学や相談会に参加して、ご自身の目で確認することをおすすめします。
理想の住まいづくりのお手伝いができれば幸いです。
※この記事の情報は2025年6月時点のものです。最新の情報については、直接メルディア(旧三栄建築設計)にお問い合わせください。
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