【注目】平屋人気急上昇中!10年で着工数2倍以上の理由とは?
注文住宅を検討している方の中で、平屋への関心が高まっています。新たに建築される平屋の数は増加傾向にあり、2013年には36,551棟でしたが2023年には57,848棟で増加率は約58%と、実に10年で2倍近い成長を見せています。
しかし、平屋ならではの特徴を把握せずに間取りを決めてしまうと日の光が当たらない、動線が悪い、プライバシーが確保できない、収納スペースが足りないなどの様々な問題が出てくる可能性があります。
本記事では、実際の成功例から学ぶ間取りのコツと、坪数・家族構成別の実例35選を徹底解説します。
平屋が選ばれる理由と市場動向
平屋人気の背景とデータ
2012年には新設の居住専用住宅は44万8,235戸で、そのうち1階建ては3万604戸。3万604戸÷44万8,235戸で、平屋の占める割合である平屋率は約6.8%でしたが、2022年には約13.5%に増加。専用住宅に占める平屋率は、10年間でほぼ2倍に増えた計算です。
年度 | 居住専用住宅総数 | 平屋戸数 | 平屋率 |
---|---|---|---|
2012年 | 448,235戸 | 30,604戸 | 6.8% |
2019年 | 459,418戸 | 48,585戸 | 10.6% |
2022年 | – | – | 13.5% |
どんな人が平屋を選んでいる?
子育て世帯からの人気が急上昇
従来は高齢者中心だった平屋選択ですが、現在は子育て世帯の支持も高まっています。子育て世帯に魅力的な平屋の特徴は、家事が効率よく行える、家事をしながらでも子供に目が届きやすい、家族の時間が取りやすい、子供が独立した後も生活がしやすい、間取りの自由度が高いといった点が評価されています。
地域別平屋率ランキング(2022年)
2022年に平屋率が最も高かったのは、宮崎県の55.8%でした。次いで、鹿児島県が52.4%で、50%を超えているのはこの両県のみでした。一方で、日本で平屋率が最も低いのは、おおむね想像がつくように東京都でした。
平屋の基本知識
平屋のメリット
1. 安全性・バリアフリー性
- 上下階の移動が必要なく段差が少ないため、転倒の危険性が低くなり、小さな子供や高齢者も安全に暮らすことができます
2. 家族コミュニケーション
- 生活範囲がまとまっています。これによって家事の動線が効率的になるだけでなく、家族が家の中のどこにいるのかわかりやすくなって、コミュニケーションが活発になることが期待できます
3. 構造的優位性
- 構造がシンプルで高さがないため、耐震性に優れているという強みがあります。さらに2階建て以上の場合、上に乗る階層のことも考えて総合的な設計をしなくてはなりませんが、1階建ての平屋は上の階層のことを考える必要がないため間取りの自由度が非常に高いです
平屋のデメリット
1. 土地・コスト面
- 平屋は1階部分しかありませんから、2階建て以上の建物と比べて生活に必要な面積を確保するために広い敷地が必要になります
- 家の基礎と屋根の材料が多く必要になり、費用が割高になることが多いです
2. 採光・プライバシー
- 住宅密集地などで周囲に2階建て以上の建物が多い場合、何も考えずに平屋を建てると日の光が届かない家になってしまいます
失敗しない平屋間取りの5つのポイント
1. 効率的な動線計画
動線の長さによる失敗を防ぐには、間取り図を見ながら1日の行動をリアルにシミュレーションすることが大切です。平屋では、水回りをまとめた設計が基本となります。
重要な動線
- 家事動線: キッチン ⇔ 洗面・脱衣室 ⇔ 物干し場
- 生活動線: 玄関 ⇔ LDK ⇔ 各居室
- 来客動線: 玄関 ⇔ リビング ⇔ ゲストトイレ
2. 採光・通風の確保
平屋は延床面積が広くなるほど中心に光や風が届きにくくなり、完成してから失敗に気づくケースもあります。
対策方法
- 天窓の設置: 屋根からの採光確保
- 中庭・コートハード: プライバシーを守りながら採光
- 高窓: 隣家の影響を受けにくい位置での採光
3. プライバシーの確保
平屋の間取りはリビングと寝室・子ども部屋が隣接しているケースが多く、お互いの距離が近すぎて音漏れなどが気になったり、プライバシーが守られにくかったりするなど、暮らしにくさで後悔するケースもあります。
解決策
- ゾーニング: パブリック(LDK)とプライベート(寝室)の明確な分離
- 廊下の設置: 音や臭いの遮断効果
- 中庭設計: 外部からの視線を遮断
4. 収納計画の充実
平屋を2階建てや3階建てのような感覚で建ててしまうと、収納が不足して困ってしまうことが多々あります。
収納のコツ
- ロフト・小屋裏収納: 縦空間の有効活用
- ウォークインクローゼット: 各居室への配置
- パントリー: キッチン近くの食品収納
- 土間収納: 玄関近くのアウトドア用品収納
5. 将来を見据えた設計
バリアフリー対応
- 段差の解消
- 廊下幅の確保(車椅子対応)
- 手すりの設置可能な下地作り
坪数別|平屋間取り成功例35選
【20坪台】コンパクトでも豊かな暮らし
20.4坪|趣味を満喫する土間リビング
- 特徴: 土間工房で作業をすることも多い生活のため、ダイニング・キッチンは工房からの土間続きでリビングの半分が土間という利便性を追求した設計
- 成功ポイント: 薪ストーブを土間に設置で手入れ簡単
- 建築費: 1,500〜2,000万円
21.3坪|アウトドア派の山小屋風平屋
- 特徴: キャンプやアウトドアが好きな夫妻が2人で暮らす、片流れ屋根が美しい平屋
- 成功ポイント: 本格薪ストーブ + 専用薪置場
- 建築費: 1,500〜2,000万円
25坪|子育て世帯の2LDK+和室
- 間取り: 2LDK + 小上がり和室
- 特徴: リビング中心の見守りやすい設計
- 成功ポイント: 回遊動線で家事効率アップ
27.5坪|ヴィンテージテイストの夫婦住宅
- 特徴: 間仕切りの少ない開放的なLDKを挟んで両側に配置された個室は、それぞれに大きな室内窓を設けることで全体としての一体感と個室としての独立感を両立
- 成功ポイント: 収納たっぷり設計
- 建築費: 1,000〜1,500万円
29坪|高性能住宅の若夫婦向け
- 特徴: 自然の力を上手に取り入れて活用する設計で、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の基準を満たした高性能な住まい
- 成功ポイント: 来客用と家族用の玄関動線分離
【30坪台】ゆとりある家族住宅
30坪|3LDK子育て世帯のスタンダード
- 間取り: 3LDK + 和室 + ウォークインクローゼット
- 特徴: 南面大開口で明るいLDK
- 成功ポイント: 子供部屋の成長対応設計
32.3坪|自然素材のカリフォルニアスタイル
- 特徴: 壁は珪藻土塗り、床には無垢材を使用しており自然素材の質感が引き立つよう設計
- 成功ポイント: 全館空調で一年中快適
- 建築費: 2,000〜2,500万円
34.4坪|南国バリ風リゾートスタイル
- 特徴: 全体的に落ち着いた配色の中に設置された観葉植物や籐の家具が南国バリ風の雰囲気を醸し出しており、家にいながらリゾートにいるような気分が味わえます
- 成功ポイント: 趣味のアクアリウム専用土間収納
35.3坪|輸入住宅スタイルの個性的デザイン
- 特徴: 青と白のツートンカラーの爽やかな外観が特徴的な輸入住宅スタイルの平屋
- 成功ポイント: 効率的な回遊動線設計
39坪|格好良さと温もりを両立した大型平屋
- 特徴: 直線美を活かしたシンプルで鋭角な形の外観が特徴的な、デザイナーズハウスの平屋
- 成功ポイント: スキップフロア + ウォークスルークローゼット
【40坪以上】大型平屋の充実設計
46.35坪|高級感ある5人家族住宅
- 特徴: リビングは柱がなく、南面の大きな窓と吹き抜けの5連窓から採光できるため隅々まで自然光が行き届きます
- 成功ポイント: 二方向アクセス可能な洗面室
49.3坪|愛車を眺められるガレージハウス
- 特徴: ビルトインガレージはリビングと繋がっていて、雨の日でも濡れずに室内に入れるのが嬉しい作りになっています
- 成功ポイント: 書斎から愛車を眺められる設計
- 建築費: 2,500〜3,000万円
【間取りタイプ別】成功例
L字型平屋の成功例
- 特徴: 中庭を囲むような配置
- メリット: プライバシー確保 + 採光確保の両立
- 適用坪数: 30〜45坪
コの字型平屋の成功例
- 特徴: 庭を完全に囲む形ではない分、間取りの自由度が高い点と、あまり広い土地がなくてもいいので、一番スタンダードな平屋の形といえます
- メリット: バランスの良い開放感
- 適用坪数: 25〜40坪
ロの字型平屋の成功例
- 特徴: 完全プライベートな中庭
- メリット: 最高のプライバシー性
- 適用坪数: 40坪以上
家族構成別|最適な間取りアイデア
夫婦2人|20〜30坪の快適設計
間取りの基本
- 2LDK or 3LDK
- ゲスト用和室の設置
- 趣味部屋・書斎の確保
成功のポイント
- 将来のバリアフリー対応
- 夫婦それぞれのプライベート空間
- メンテナンスしやすい設計
子育て世帯(3〜4人)|30〜40坪の見守り設計
間取りの基本
- 3LDK〜4LDK
- 家事をしながらでも子供に目が届きやすい設計
- 成長に対応できる可変性
子育てに最適な間取りアイデア
1. キッズスペース キッズスペースは、小さい子供が日中遊ぶことができる空間です。リビングやキッチンから見渡せるよう設計されているため、親は家事をしながら子供の様子を気にかけることができます
2. ファミリースペース 家族全員が共有して勉強したり作業したりする多目的空間です
3. 安全設計
- 段差の解消
- 角の丸い設計
- 転落防止対策
三世代同居|40坪以上の分離設計
間取りの基本
- 4LDK以上
- プライバシーを保つゾーニング
- バリアフリー完全対応
成功のポイント
- 各世代の生活時間帯を考慮
- 共有スペースと専用スペースの明確化
- 将来の介護対応設計
平屋特有の課題と解決策
採光・通風の課題
よくある失敗例 平屋は延床面積が広くなるほど中心に光や風が届きにくくなり、完成してから失敗に気づくケースもあります
解決策一覧
課題 | 解決策 | 効果 |
---|---|---|
中心部の暗さ | 天窓設置 | 上からの自然光確保 |
隣家の影響 | 高窓の採用 | 隣家を越えた採光 |
プライバシー確保 | 中庭設計 | 外部視線遮断+採光 |
風通し悪化 | 対角配置の窓 | 効率的な通風 |
中庭設計のメリット 中庭があることで日差しが届きやすく、部屋を明るくすることが可能です。また窓数が多ければ風の通り道を確保でき、季節ごとに変わる風向きにも対応できます
音・プライバシーの課題
音の問題 平屋は廊下を設けず、部屋同士をつなげた間取りにするケースが多いですが、このような間取りは音が漏れやすく、プライバシーや睡眠に支障が出やすい点がデメリット
対策方法
- 廊下の設置: 音の遮断効果
- 防音材の使用: 壁内への施工
- 配置の工夫: 静音エリアと活動エリアの分離
収納不足の課題
平屋特有の収納問題 ワンフロアの平屋は同規模の2階建てを建てる場合に比べると、広い土地が必要になります。しかし土地の敷地面積に限りがあると、居室スペースの広さ確保を優先してしまい、住んでから「収納スペースが少なかった…」と後悔する人もいるかもしれません
効果的な収納アイデア
1. ロフト・小屋裏収納 法廷床面積に算入されないため固定資産税の計算の対象外になるという点ですというメリットがあります。
2. ウォークスルークローゼット
- 通路としても機能
- 複数の部屋からアクセス可能
- 家事動線の効率化
3. 土間収納
- 玄関近くの大型収納
- アウトドア用品に最適
- 外部からの直接アクセス可能
防犯面の課題
平屋特有の防犯リスク 全ての窓がお庭に面している平屋は、防犯が気になって寝室の窓を開けにくいケースが多いです
防犯対策
- 外構による対策: フェンス・生垣の設置
- 窓の配置工夫: 死角を作らない設計
- 防犯設備: センサーライト・防犯カメラ
- 中庭設計: 外部から見えない安全な窓配置
建築費用とコストを抑えるコツ
平屋の建築費用相場
坪数 | 建築費目安 | 特徴 |
---|---|---|
20〜25坪 | 1,500〜2,500万円 | コンパクト設計 |
25〜30坪 | 2,000〜3,000万円 | 標準的な3LDK |
30〜35坪 | 2,500〜3,500万円 | ゆとりある設計 |
35〜40坪 | 3,000〜4,000万円 | 大型ファミリー向け |
40坪以上 | 3,500万円〜 | 高級仕様・特殊設計 |
コストを抑える設計のコツ
1. シンプルな形状
- 複雑な形より正方形・長方形
- 屋根形状をシンプルに
- 凹凸を減らす
2. 効率的な面積配分
- 廊下の最小化
- 多目的に使える空間設計
- 適切な坪数選択
3. 設備のメリハリ
- こだわりポイントを明確化
- 標準仕様の活用
- 将来対応可能な下地作り
平屋建築で失敗しないためのチェックリスト
設計段階のチェックポイント
□ 動線計画
- 1日の生活をシミュレーション済み
- 家事動線が効率的
- 来客時の動線が確保されている
□ 採光・通風
- 各部屋の明るさを確認
- 風の通り道が設計されている
- 隣家の影響を考慮済み
□ プライバシー
- 外部からの視線対策済み
- 家族間のプライバシー確保
- 音の問題を検討済み
□ 収納計画
- 各部屋に適切な収納配置
- 季節用品の収納場所確保
- 将来の荷物増加を考慮
□ 将来対応
- バリアフリー設計
- 家族構成変化への対応
- メンテナンス性の確保
業者選定のチェックポイント
□ 実績確認
- 平屋の施工実績が豊富
- 同規模の建築経験あり
- アフターサービス体制が整備
□ 提案力
- 生活スタイルに合った提案
- 課題に対する解決策提示
- コストパフォーマンスの説明
土地選定のチェックポイント
□ 法的制限
- 建ぺい率・容積率の確認
- 高さ制限の確認
- 用途地域の制限確認
□ 環境条件
- 日当たり・風向きの確認
- 隣家との距離・高さ
- 将来の開発予定確認
□ インフラ
- 上下水道の状況
- 電気・ガスの引き込み
- 道路付きの状況
まとめ|理想の平屋で豊かな暮らしを実現
平屋は住みやすさとデザイン性を両立できる魅力的な住宅形式です。本記事で紹介した35の成功例と設計のコツを参考に、あなたの家族にとって最適な平屋を実現してください。
成功のための重要ポイント再確認
- 動線を最優先に考える: 家事効率と生活快適性に直結
- 採光・通風は設計段階で十分検討: 住み心地を大きく左右
- 将来を見据えた設計: 長く快適に住み続けるために
- 収納は多めに計画: 平屋特有の課題への対策
- 信頼できる業者選び: 平屋の実績豊富な会社を選択
平屋での暮らしは、家族の絆を深め、シンプルで豊かな生活を実現できます。 しっかりとした計画と適切な設計により、長く愛される住まいを手に入れましょう。
このガイドが、あなたの理想の平屋づくりの参考になれば幸いです。住まいづくりは一生に一度の大きな決断です。十分な検討と準備で、家族みんなが幸せに暮らせる住まいを実現してください。